「いい弟、悪い弟」を読みましたのでネタバレを紹介します。
「いい弟、悪い弟」は初の連載漫画をもった瀬能じゅん先生の作品です。
初めて恋した相手が…義理の姉に⁉
好きな人と一つ屋根の下で弟としていられるのか、それとも男になってしまうのか。
義理の姉にとっていい弟、悪い弟でいるか苦悩する作品になっています。
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漫画「いい弟、悪い弟」のあらすじ・ネタバレ
「いい弟、悪い弟」のあらすじ
中学2年の時、スーパーで見かけていた・日乃に恋をした礼史。
しかし恋をした女子高生は数年後、父親の再婚で義理の姉になった。
気持ちを隠しながら、一つ屋根の下で暮らしているも、どうしても意識してしまう。
そんな時、礼史の上半身裸を見て真っ赤になる日乃に、思いが止まらなくなってしまった。
「かわいい」
そう言いながら、キスをした。
その瞬間突き飛ばされ、次の日の朝は避けられるようになった。
日乃はちゃんとお姉ちゃんしないとと思っていたが、年上なのにキスもしたことがなかったため、礼史とどう接したらいいのかわからなくなっていたのだ。
それを知った礼史は
「俺のこと男としてみて」
「彼女になって」
嫌じゃない日乃は“はい”と返事をするも、電話の音で我に返った。
そして「お姉ちゃんなのに血迷った!忘れて!なかったことにしてー!」と。
その日から日乃は“義姉”としての立場に固執するようになってしまった。
日乃が願うなら“いい弟”でいようと思う礼史。
だが、彼女の態度に期待をしたり、次の日には“義姉”に戻ってしまう日乃に苦悩する毎日。
礼史はいい弟でいられるのか⁉それとも悪い弟になってしまうのか⁉
「いい弟、悪い弟」のネタバレ
第1話
朝起こしてくれるのは、好きな人・日乃。嬉しいはずの礼史だが複雑だった。
「…姉さん。俺の部屋に自由に入るのやめて…」
そう日乃は礼史の好きな人であり、義理の姉なのだ。スーパーで見かけて好きになっていた人は、父親の再婚で礼史と弟・仁礼の姉になってしまった。
「ひのちゃん!てぇつなごー!」
仁礼の一言で真ん中に日乃を挟んで手を繋ぐが、意識している礼史に対して、手をつなぐことすら全く気にもしていない日乃。
ある日、お風呂上がりに上半身裸で出ると、ちょうど帰宅した日乃が…。
あたふたする日乃の様子が変だと思いながらいると、彼女の顔は真っ赤になっていた。
‐‐俺のせい?
礼史は自分のせいで赤くなっている日乃にもっと赤くなればいいと顔に触れた。さらに赤くなる日乃。
「かわいい」
つい声に出していた礼史。
「からかうのやめよう⁉ね⁉」
「からかってない」
戸惑ている日乃がかわいくて仕方なくなり、礼史は彼女の身体をあちこち触り始めた。
「ほんとかわいい」
そのままキスをした。
その瞬間礼史は突き飛ばされた。日乃は涙を流してその場から離れた。
次の日、声をかけても困った顔していなくなってしまった。
いつか諦められるのかと悩みながら仁礼の迎えに行く途中で、土砂降りの雨が降り家の方からびひょぬれの日乃が、着替えてから迎えに行くから一緒に帰るよう差し伸べた手を避けられてしまった。
その行動に傷つくも、彼女に風邪をひかせないために無理やり家に帰った。
「ちゃんとあったまんなきゃだめだよ」
それだけ言い残して出ていこうとしたら、止められた。
「…私年上なのにキスとか全然したことなくて、好きな人もいたことなかったからどう接したらいいかわかんなくなっちゃって。ちゃんとお姉ちゃんしなくちゃって思ってるのにうまくできな…」
泣きながら思っていたことを告白をする日乃を途中で抱きしめた礼史。
「好きだよ日乃さん。俺のこと男として見て」
もう弟はできないと…そして好きと告白した。しかし日乃はさらに泣き、自分も泣きそうになる。
「な、泣くほど嫌……?」
「ちがう!嫌じゃない!むしろ…」
それを聞いて限界になった礼史は“彼女になって”と…。理由をつけて返事をしないでいる日乃だが、言い返されてしまい諦めて返事をした。その瞬間キスをした礼史。
抱きしめながら
「体冷たいよ。あっためてもいい?」と。
第2話
結婚をする姉を奪いに来た弟。そんな映画を借りてきた日乃。
「姉と弟の感動アクションコメディーって書いてあったから借りたの!ホントだよ!」
日乃は必死に弁解をする。
最近の彼女は家族物の感動映画ばかりを借りてくるようになった。
「今日ジャージで暑くないの?日乃さん」
「お姉ちゃん!!ちゃんとお姉ちゃんって呼んで!」
”姉”という立場にものすごく固執するようになってしまった。
その理由はきっとあの日のせい。
あの日
「も…立ってられな…い…」
と下着だけで温めあっていた二人。もう一度キスしようとしたところに、電話が鳴った。
仁礼のお迎えの電話だった。すぐに迎えに行くと伝え電話を切った。がっくりしている礼史に後ろから更に、衝撃なことが。
「ごめんね。お姉ちゃんなのに血迷った。礼史くんお願い!忘れて!なかったことにしてー!」と。
彼女が”姉”でいたいのなら俺も”弟”いなきゃだめなんだと落ち込む礼史。
「おかえり礼史くん!おつかいありがとう」
「ただいま……ごくり」
礼史が買い物から帰ると、なんと日乃は礼史のワイシャツをを着ていた。
「…それ、俺のシャツ…」
「弟のものは姉のものなんだよ?しらないの?」
前日のテレビで「俺の高いシャツ勝手にパジャマにするなー!姉貴のバカ」とそんなっ感じのことを見ていた日乃は真似をしたのだ。
しかしその恰好は、弟のを着ているというより、彼氏のを着ているようだ。
うとうとしながらテレビを見ていた日乃の隣に座ると、彼女は寝てしまい寄りかかってきた。
弟ならほっといて寝るかたたき起こすはずと思いながらも、動きたくない礼史はそのままでいた。そしてどこまでだったら”弟”としてアリなんだろうかと考えていた。
「お迎えなんていいってば!大丈夫!」
「だめ。行く。のみ会終わるの何時?」
飲み会に行く日乃を迎えに行くと言っているのに拒否する彼女。
「姉は弟をアゴで使うもんでしょ?」
そう言った礼史に納得し、場所と時間を伝えた日乃。単純すぎる日乃が心配になる礼史。
迎えの時間まであと一時間とそわそわして、落ち着かないから店の前で待っていようかと考えていた礼史のもとに、日乃からの着信がきた。
「あんた日乃弟?」
お店の前でタバコを吸っているお姉さんに聞かれ、走ってきた礼史は頷いた。
「日乃もってかえってちょ。さっき電話でも言ったけどあのコべろんっべろんだから」と。
さっきの電話は日乃からではなく、
「弟が迎えに来るまで帰らんってクダ巻いてるから迎えにきてくんない?」
と日乃の電話を借りたこのお姉さんからだったのだ。
「それで日…姉はどこに…」
するとお店から別の友達が出てきた。そして礼史を見て”誰?”と。
弟と聞くと
「えーっ日乃の弟ー⁉似てなーい!」と。
他の友達も出てきて、礼史を囲んでしまった。礼史は日乃の友達には愛想良くしなきゃだめだよな…弟として…と思って愛想よく質問に答えていた。
「弟きてるでしょ!何してんの日乃」
その声にホッとする礼史。愛想よくしよとしていたが、お酒を飲んでいて、どんどん質問してくる女性たちに怖くなっていたのだ。
振り返ると、ムスッーとした日乃の姿が。
「日…姉さんカバン持つから貸して」
「いい」
ぷいとする日乃に酔うと機嫌が悪くなるのかと思う礼史。
いつもより酔っている日乃に何かあったのか聞くと姉としてズレている答えが。
「みんなのうちのお姉さん、お酒強い人ばっかりなんだって」
「だからそんなに飲んでんの?日乃さんの姉の感覚ズレてない?」
「お姉ちゃんって呼んでってば!」
「呼び方なんてどうでもいいだろ」
礼史は姉としてなんか見ていないのだから、呼び方なんてどうでもいいのだ。
不機嫌のままの日乃はさらに続ける。
「さっきは読んでたくせに。ほかの女の子の前では姉さんって呼んでたくせに!モテて楽しそーだったね。礼史くん!」
モテてないことを否定するも
「うそ!みんなにべたべたさわられてた!」と。
ヤキモチを焼いているようにしか聞こえない礼史。
「日乃さんが機嫌悪いのってもしかして、俺がほかの女の人にさわられてたせい?」
確認のために聞いてみると、日乃は赤くなった。
「…俺がさわられたいのは1人だけだよ。さわって?日乃さん。上書きしてよ」
そう言って手を差し出すと、日乃は手を伸ばした。
礼史はその手をとり自分に引き寄せ、そのままキスをした。
口を離して、日乃の顔を見る。頬は赤く、目がトロンとしていた。そんな顔をしている日乃に礼史はすぐに触れたかったが気持ちをグッと抑えた。
「弟でいろって言うならやめる。困らせたくない。けど日乃さんのことどうしても姉として見れないんだ。
日乃さんはどうしてほしい?日乃さんの嫌がることしたくない。日乃さんの言うとおりにするから」
素直な気持ちを伝えた礼史。
「みんなと仲良くしてるとこ見た時…すごく嫌だった…ほかの女の子さわるくらいなら私をさわってくれたらいいのに…っ」
それを聞いた礼史はキスをした。日乃の体をさらって、彼女にも触ってほしくなったのだ。
「ほかの女の人がさわったとこ上書きしてくれないの?」
「……すーすー」
日乃は答えることなく寝てしまった。礼史はこの酔っ払いと思った。
次の日の朝、いつも通りにご飯を食べている日乃に礼史はまさかと思いながら聞いた。
「…きのう…って」
「?うん?」
日乃は酔っ払っていて、昨日の出来事を覚えていなかったのだ。
ショックを受けた礼史だが、気まずくなるよりいいのか…?と思っていた。
「礼史くん!お姉ちゃんもそれ食べたい」
「はい…姉さん」
弟の戦いはまだまだこれからだ…そう思った礼史だった。
第3話
「おまつりいきたい!みんなでわたあめたべたいの」
仁礼の一言で家族総出でお祭りきていた礼史たち。
「お義父さんたち社務所にいるって。行こ」
だが、礼史と日乃は家族とはぐれてしまったのだ。
「あっ仁礼くんにはおめん買ってあげたから、礼史くんにも何か買ってあげる。なんでもいいよ、ほしいもの!」
”今一番欲しいものは日乃さん”って言ったらどうするんだろう。そんなことを考ええていた礼史だが、日乃の”お姉ちゃん”の言葉に、日乃が喜ぶならちゃんと弟らしくしようと思っていた。
弟っぽいのは何か食べ物をねだった方がいいのか、今度は弟っぽくするためにどうするか考えてた。
礼史がずっと黙っているのに
「どうかした…」
と聞こうとしていた日乃が、階段から落ちそうになった。それを支えた礼史。
ぶるぶるがくがくしている日乃を落ち着かせようとする礼史だったが、彼女の二の腕の柔らかさに動揺して、ぐきっと礼史が階段から落ちてしまった。
「あーんして」
日乃がご飯を向け、仁礼が声を出す。
礼史は昨日の階段から落ちたことによって、ねんざと腕の骨折、足5針縫う怪我をしたのだ。
階段から落ちたのは、自分のせいだと落ち込む日乃。
「石踏んでフラついただけだから」
なんて嘘を言って気にしないようにする礼史。
「弟の面倒たのんでもいいかい?お姉ちゃん」
「もちろん!」
父親の一言でやる気を出してしまった日乃に、礼史は嫌な予感がしたいた。
「あーん」
礼史は嬉しそうにする日乃に対して、恥ずかしがる自分がおかしいのかと悩んだ。
放課後、友達と下駄箱まで来たところで、礼史は靴も変えずに急いで校門へ走った。
「何やって…」
「迎えに来た!」
そう日乃がいたのだ。しかも男に声をかけられていた。
「あのさ、もうこんなとこ来んなよ。日…姉さん」
男に絡まれていたのにのんきな日乃に、少し強い口調でイライラしながら礼史は言った。
しかし言った瞬間にはっとしていた。言い訳のように“抜糸が終わるまで休むから”と。
近くに男がいただけで余裕をなくして、キツイ言葉をかけたこと、怪我をしていて情けなくかっこ悪く思っていた。
「大丈夫?」
その姿に声をかけた日乃の手には、なぜか洗面器が。何をするのかと聞くと
「体拭くの!」
と。それを聞いて動揺する礼史。片手があるから大丈夫といっても、届かないところあるでしょと聞く耳をもたない。
「はい!脱い…」
そう言いかけて、気づいたのだ。二人して赤くなる。
「おっおとっ弟の面倒みるのは姉の役目。ぬぬぬ脱いで」
赤くなりながら、動揺しながら言う日乃に諦めて、さっさと終わらせようそう思って礼史は包帯のひもをほどこうとした。…がとれず、日乃に取ってもらうことに。さらにシャツのボタンまでも。
顔が赤い日乃がかわいく、無意識に抱きしめようとしてハッと気づき離れた。
「じゃじゃあうしろむいてください」
その言葉に助かった礼史。日乃を視界に入れない方が安全だと思ったのだ。
しかし拭くというより、なでてる感じの拭き方に戸惑っていた。前を拭くために、結局顔が見える所に…。
‐‐ごちん
日乃の顔を見てキスしそうになった礼史だが、足に力が入り頭同士がぶつかった。
「石頭ー!」
と笑う彼女を見て、押し倒さなくてよかったと思ったのだ。“弟”でいたらそばで笑ってくれると。
体を拭かれるのにも、給仕されるのにも慣れ、もうたいていのことには動じないと思っていた礼史だったが…。
「抜糸したあとどう?平気?」
「ん?うん。なんともないけど」
「じゃあ一緒におフロ入ろ」
その一言に動じてしまった。
「頭と体洗ってあげる!」
礼史は日乃は服を着ているとはいえ、お風呂で好きな人といることに耐えるため、何か違うことを考えようとするも、彼女の声が響き、同じ香りが充満して、どうでもよくなってしまった。姉とか弟とかすらどうでも…。
「わんこみたい」
「…わん」
楽しそうに笑う日乃。
「かわいい」
礼史と日乃の声が重なった。日乃の手を取りキスする。
「弟より犬のがいいや、俺」
「…なに」
「わんこならご主人、大好きでもしかたないよね?」
「わ、わんこ呼ばわりしたから怒ったの?」
「そんなことで怒んねーよ」
鼻にキスをし、犬がするように鼻同士をすり合わせた。“待って”といっても、“だめ犬だから待てできない”と。
「犬になつかれたと思ってあきらめよう?甘えさせて。日乃さん」
そのままキスをした。家の中では弟たちは寝ている。
礼史はブラのホックを外し、首元に顔を埋めた。
「礼史くんは犬ではないです」
「わ、わんこはこんなことしない」
どうにか止めようとする日乃だが、礼史は止まらない。
「日乃さんの目には、俺はどう見えてるの?」
「お…」
‐‐トン ザーッ‐‐
日乃が答えようとしたとき、肩がレバーにあたり、シャワーが出て二人を濡らした。
「にーちゃん、はい、あーん」
「ゴホッゴホッ…にーちゃん今…チョコ食えない…」
仁礼がチョコをくれようとするも、咳が出るのとだるさで食べれず断った。“お…”の続きが気になって仕方ない礼史だったが、風邪をひいてしまったのだ。
「シャワーもだけど、私が冷たいタオルで体拭いたせいだよね」
「ちが…ゴホッ」
礼史は申し訳なさそうにする日乃に答えようとしたが、咳が出てうまく言葉でない。そして日乃から思わぬ言葉が出たのだ。
「もしかして礼史くん、言動おかしかったのも体調悪かったから?」
「⁉ちが…ゴホッ」
「気にしてないから、全然大丈夫だよ!」
違うことを伝える前にいられてしまった。日乃の中であの出来事は、なかったことにされたのだ。ショックをうける礼史。
弟の戦いはまだまだ始まったばかりなのだ…。
第4話
夕飯の買い出しをしている礼史と仁礼。仁礼に何がいいか聞くも
「メロンパン」
「きゅうり」
と話にならず、日乃に聞くことにした二人。
電話に出た日乃に夕飯何がいいか聞くと、“いらない”と言われた。体調が悪いのかと心配したが、理由は違った。
「ダ、ダイエットするの」
礼史はそれを聞いて夕飯時に彼女を見るが、どこに痩せる必要があるのかと考えていた。
弟がそんなこと言うのもおかしいのか…?と思いつつ、もしも自分が彼氏だったら…と考えた。
「太ってても痩せてても俺は日乃さんのこと好きなの。まだわかんない?
つーかダイエットの必要ある?どこが太ったのかわかんなんだけど」
そう言って布団に押し倒す礼史。
「ほんとに太ってない?ちゃんと全部見てたしかめて」
服をまくり上げ、照れながら言う日乃。
「礼史くんもお茶飲む?」
義母の声に我に返った。
本人を目の前にして妄想していた礼史は罪悪感を感じた。
台所に立って、ダイエット食品を作り始める日乃の後ろ姿を礼史は、台所に立ってる彼女をじっくりみるのはじめてかも…なんて思ってみていた。
ガランーーバシャン
「………手伝っていい?」
「いいの?助かる!」
見ていて危なかっしくしている姿に、声をかけた。
「普段も礼史くんにばっかり、ゴハン作らせててゴメンね。なんか私、すごく手際が悪くて」
手際よく作業する礼史に日乃は謝った。
「…別に気にしなくていいよ。俺が作ったメシおいしそうに食べてる日乃さん、かわいくて好きだから」
「へっ?」
とっさに本音が出た礼史だったが、その言葉に日乃は赤くなった。
「そ、そーゆー冗談言わないの!お、お姉ちゃんだからまだしも、ほかの女の子だったら本気にするよ⁉」
あたふたして困っている日乃に、礼史はさらに言った。
「照れてる顔かわいい」と。
「!! か…っからかうの禁止ー!」
日乃はもっていたこんにゃくを落とし、大きな声で怒った。
「別に太ってないよ?」
「ごめん。ダイエット協力するから」
怒らせた?と不安になった礼史が、声をかけるも反応してくれない日乃。隣にいき、どうしようと不安になっていた礼史の顔を見た、日乃は噴き出した後ボソッと一言。
「…わんこ」
「あんこ?買ってくる?あずき」
聞き間違いをした礼史だった。
「ウォーキングとストレッチ。私がサボらないように、つき合ってくれる?」
「うん!」
やっと反応してくたことが嬉しく、ちゃんと弟としてダイエットを応援しようと思った礼史。
がしかし、テレビを見ながらのストレッチで大変なことに。
「ん…はぁっ…ねえ、ちゃんとできてる?」
変な姿勢になってたら、教えてと言われていた礼史だが、日乃の苦しそうな声がエロくて見れなかったのだ。
「ちゃんと見て指摘してよー」
「う、ごめ…」
謝りながら振り返ったが、日乃の姿に固まってしまった。胸元が見えるTシャツに短パン、さらにはさっきまでのストレッチで息が切れ、頬は赤く、目がトロンとしているのだ。
「あ、やんなくちゃ」
続きをやり始める日乃を、ちゃんと見て指摘しようと思うも、すぐに無理だと礼史は判断した。この状況で、弟をやっているのは無理だと、頭を冷やすために
「…走ってくる」と。
「待って。私も行く。ウォーキングする」
日乃はパーカーを着てついてきた。礼史は頭冷やすどころか、日乃がついてきたことに喜んでいた。
「夜ウォーキングするの、実はちょっと迷ってたんだ。礼史くんいてくれてよかった」
そういってくれたことに嬉しくなった礼史は
「…俺いい弟?」
と聞いてみた。違う答えをしてくれるかもと期待して…。
「すごくいい弟」
日乃は笑顔で答えた。礼史は複雑そうな顔をして笑ったのだった。
「何、礼史ダイエットしてんの?」
「してない俺は」
学校でダイエットの本を見ていた礼史に友達が声をかけた。その時、近くの女の子が
「ダイエットしてるんだから見せないでよぉー」
「あんたのどこにやせるとこあんのさ」
そん会話が聞こえてきた。日乃だけじゃないんだと思った礼史は
「女子ってなんで太ってないのにダイエットすんだろ…」
そう呟いていた。それを聞いた友達は、さっきの会話をしていた女の子に聞いていた。
「女の子はね!好きな人にカワイイって思われた・い・の♡」
理由を聞いた礼史は、日乃も好きな人のためなのではと思うのであった。
「うぅ…いたいぃ…」
その夜、日乃は前日のストレッチやウォーキングのせいで筋肉痛になっていた。
「今日もストレッチするからつき合って…」
「…今日ぐらい休めば?」
「だめ。やせたいの」
「いーけど…宿題終わらせてからでもいい?」
「うん」
礼史は筋肉痛で大丈夫じゃなくても、痩せようとする日乃にもやもやしていた。痩せたいのは好きな男のためじゃないのか…と。
しかし弟の礼史はそんなことは口出したりできないと思っていた。
「日…姉さん、ごめん。遅くなった…」
宿題を終えて居間に行くと、日乃はソファーで眠っていた。礼史は切なそうな顔をしながら、日乃を起こした。
「今日はもー無理しないで寝なよ」
「…起きる…がんばる…?」
眠そうな目をこすりながら、起きようとした日乃を礼史は抱き上げた。
「なんでそんなにやせたいの?」
一瞬何がおきたのかわからなかった日乃は、ワンテンポ遅れて恥ずかしくなった。
「おおお重いから」
「重くねーよ」
「降ろしてー」
日乃の言葉など聞かずに、礼史は抱き上げたまま自分の部屋に運んだ。そしてベットに押し倒すように降ろした。
「なんでそんなにやせたいの?誰かにやせろって言われた?」
「…や、やせろってゆうか、太ったって言われて…」
体勢や状況に恥ずかしくなっていても、聞かれたことに答える日乃。
「なんなのそいつ」
「だ大学の友達…」
「そんなやつの言うこときくことねーよ」
「え、でも、礼史くんにはずかしい思いさせるのやだ」
そんなこと言う、好きな人なんてやめておけばいいのに、そんな気持ちになっていた礼史。しかし、理由は違うことだった。
お互いに座って話すことに。
「よくわかんないけど、私の友達みんな礼史くんのコト知ってて」
飲み会に迎えに行った時のことを、日乃は本当に覚えていなかった。
「弟にいいとこ全部とられすぎだって。礼史くんの姉でーすって私が出てきたら、なんかビミョーでおかしい感じなんだって」
「は?」
「もしも礼史くんのお友達が私見て、お前の姉ちゃんビミョーって笑われたりしたら、礼史くんはずかしい思いするんじゃないかなって」
「…だからダイエット?」
「うん!」
ダイエットの理由が礼史のために頑張っている、そんな風に聞こえたのだ。
「そんなことしなくても俺は」
そう言って、日乃を礼史は抱きしめた。頬にキスをした。
「れ礼史く…?」
声を出した日乃に、しーっとしてそのまま口にキスしようした。
ーードン ごちん
顔を近づけたところで、礼史に何かが当たり、頭同士をぶつけたのだ。
「……仁礼くん?」
痛いところを触りながら、礼史にぶつかったのを確認すると、仁礼だった。
「時々ねぼけてもぐりこんでくるんだよね」
「そそうなんだ…」
礼史は再度、日乃を抱きしめた。日乃を抱きしめている礼史の顔は、気持ちを伝えるか伝えないか、色々なことに葛藤しているようなそんな表情だ。
「うーん。やっぱりやせる必要ないと思うよ?」
「はい⁉もしかして肉付きたしかめるために⁉ほかの女の子にこんなことしたらセクハラなんだからね⁉」
「はいはい」
礼史は言わないが、肉付きを確かめるために抱きしめた訳ではなかった。
それにほかの女の子になんかしない、抱きしめたいいのは日乃だけだから、そう思っていたのだ。
しかし、そんなことは言えない。“弟”だから告えない。
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「いい弟、悪い弟」の感想
一話一話完結になっている感じで読みやすいです。少女漫画にしては、珍しい男性目線になっています。
好きな人が義理の姉になる。そんな悲しいことはないですね。
弟としか見てくれない、姉としてとしか接してくれない、でも礼史は一つ屋根の下で葛藤して可哀想におもいますが、親の再婚なんてどうしようもないですからね。
でも弟じゃなくて、男としてみるところもあるのは、礼史は喜ぶけどなんともいえないですね。
大学生になって義理の弟の一人が、高校生って難しいタイミングだといえますね。だから日乃も裸の礼史には、困ってしまったのでしょう。
ただ男としてみてって言ったところは、、グッときましたね。よく言った!って感じです。
まぁなかったことにされてしまいましたが…。
礼史と日乃の仲はなかなか実りそうにないですね。
あれだけ礼史が思いを伝えても、次の日にはいつも通りになる日乃は天然なんでしょうね。
お預けされているようにも見えなくはないですが、日乃の性格からしてそれもないでしょう。
今後二人の仲がどうなるか気になりますね!
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