漫画「愛なき億万長者の嫉妬」はマヤ・ブレイク原作、高井みお先生の作品です。
PR会社役員のエリーズはアレハンドロの会社へ契約に出向くが、傲慢な態度で追い返されショックを受けた。
手腕を見せつけて採用されたが、それはヒステリックで人使いが荒く、嫉妬深いボスとの共同作業を意味していた。
エリーズは、アレハンドロの時折見せる寂しそうな表情に惹きつけられていった。
アレハンドロもまた、エリーズに『女神』を見出した。
2人は衝突しながらも惹かれ合い、互いのトラウマをさらけ出していき――…
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「愛なき億万長者の嫉妬」のあらすじ・ネタバレ・感想
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「愛なき億万長者の嫉妬」のあらすじ・ネタバレを紹介しますのでご注意ください!
「愛なき億万長者の嫉妬」のあらすじ
eコマース会社SNV経営者、アレハンドロ・アギラルは1枚の資料に見とれていた。
その資料には、ジェームソンPR経営者の娘、エリーズ・ジェームソンが写っていた。
この僕から数分を奪った美貌は評価するが、僕の仕事には必要ない。
「やはり外部PR会社はいらない」と秘書に連絡した次の瞬間。
小気味良いノックの音とともに、エリーズが入室してきた。
実物のエリーズは写真以上に美しい…が、こんな営業スマイルは見飽きている。
アレハンドロは訪問したばかりのエリーズを高慢な態度で追い返してしまう。
エリーズが去ったあとアレハンドロは思い至った。
彼女は、実家にあった女神の肖像画に似ている――
「愛なき億万長者の嫉妬」のネタバレ
エリーズは、プリプリ怒って社長室を後にした。
米国eコマース業界でたった10年で世界レベルに成り上がったスペイン出身のカリスマ実業家は、どんな人間だろうと期待してきたのに…ちょっとでも素敵だと思った自分がバカみたいだ。
――しかし、このチャンスを逃すわけにはいかない。
エリーズは一度追い出された社長室に舞い戻り、自分の実力を試すようアレハンドロに食い下がった。
さらに「御社は日本のコングロマリット・イシカワコーポレーションと合併予定だが、ここにきて話が滞っている。何か問題が起こっているのではないか?」と訊いた。
…確かにイシカワ側が合併を渋っている。もしかしたらSNVと他社を秤にかけているのかもしれない。
それを聞くなりエリーズはスマホを取り出して、どこかへ電話をかけ流暢な日本語で会話を始めた。
電話の相手は日本人クライアントで、創設者であり会長のケンゾウ・イシカワの知人だという。
曰く、合併が膠着しているのはケンゾウの意向で、大切な会社や社員を外人に奪われるのを嫌っているのではないか?とのことだ。
…なるほど、そこへSNV以上の好条件で名乗りを上げた企業がいるのかもしれない。
アレハンドロは、イシカワの内情を短時間で見抜いたエリーズの手腕を認め、採用することにした。
――
エリーズは、採用早々の激務で疲弊しきってアパートへ帰った。
そこへ両親が訪ねてくる。
彼らは、エリーズがSNVとの契約をもぎ取ったことだけを喜んだ。
自らの美貌を金儲けの武器と考え、娘にも「使えるものは何でも使わなきゃ」という母。
娘が描いたスケッチを「こんなものを学ぶために大学に行かせてやったんじゃない」と一笑に付す父…
せっかくエリーズが淹れたお茶も飲まずにパーティーへと繰り出していった。
エリーズはそんな2人の後ろ姿を、ため息をつきながら見送っていた。
――
翌朝
アレハンドロは不機嫌だった。エリーズが遅刻しているからだ。
人事部で手続きをしていると聞いて社長室を出ると…従業員たちと楽しそうに雑談するエリーズがいた。
アレハンドロは彼女の笑顔に見とれる反面、猛烈なジェラシーを感じ、怒鳴りつけてしまう。
プライドが高くヒステリックで嫉妬深いボス・アレハンドロ。
向こう気が強く、ボス相手でも意思を曲げないエリーズ。
2人は衝突しながらも歩み寄り、次第に惹かれ合っていく。
ある日SNVは、イシカワのCEO・ジェイソンとのテレビ会議を取り付けた。
やはり合併を渋っているのはケンゾウの意思で、『トレド』が関係していることが分かった。
トレドはITベンチャー企業で、経営者はガエル・アギラル。アレハンドロの異母弟だ。
アレハンドロはガエルを嫌っていた。
その理由は、わざわざアメリカまで追いかけてきて、行く先々で邪魔してくるのが鬱陶しいばかりではない。
アレハンドロの父は女癖が悪く、外で愛人と私生児(ガエル)をもうけていた。
それを知ってから母のヒステリーは一層ひどくなった。
狂った母をなだめて何とか食べていく…地獄のような少年時代を過ごしていた。
こんな環境を作り出したガエルが疎ましかったし、気にかけてやる余裕もなかった。
そんなアレハンドロ少年の救いは、実家に飾ってあった女神の肖像画だった。
父が気まぐれで買ったものだったが、憎しみに満ちた家庭での唯一の救いだったのだ。
…ある日、取り乱した母に焼かれてしまったけれど。
また、こんなに無心に働くのは『自分は親のようなロクデナシではない』と証明するためだった。
エリーズもまた、息苦しい家庭で育った。
エリーズは自分を意のままに操ろうとする両親に反発していた。
ミステリアスでいろと言われたから、いつも笑顔でいる。
メイクは派手にと言われたから、ナチュラルにしている。
資産家令嬢でありながら安アパートで質素な生活をしているのも、彼女が取った学位が両親の意にそぐわなかったために学費を返済せねばならなかったからだ。でも、それも終わり。今回の報酬が入れば自由の身だ。
何より嫌なのは、両親の貞操観念だった。
彼らはお金のためなら枕営業もいとわないような人間で、娘にもそうすることを要求するのだ。
エリーズはそれを苦痛に感じていた。
男に身を委ねることで、ふしだらな両親のようになってしまうのではないかと恐れて、純潔を貫いてきた。
――愛とはなんだ?
僕は自分のためにエリーズを手に入れたいが、同じくらい傷つけたくない。
分からない。これは愛か?それともエゴなのか?僕は人を愛せるのか?
――私も、愛されることを知らないの。
あなたが望むならこの心を捧げるわ。
だから教えて。女として愛されるということを…
2人は『愛』を確かめるように、互いを求めあった。
その翌朝、ケンゾウの誕生パーティーに参加できることになり、2人は京都へと立った。
アレハンドロはケンゾウと面会し、彼の考えを聞いて驚く。
ケンゾウは、SNVとトレドを天秤にかけているのではなかった。
SNV・トレド・イシカワの、3社の合併事業を望んでいたのだ。
「君たち兄弟の間に何があったか知らんが、それは君たち2人で解決すべきことだ」
そう言ってケンゾウは去っていった。
――京都にはガエルの姿もあった。
「僕と組むのか?」と言う弟は、やや緊張しているようだった。
――弟を見ると封印した感情が暴かれるようで、それが怖くて、ずっと弟を避けていた。
僕は、今までガエルの気持ちを考えてやったことがあるだろうか。
弟がこんなに付きまとうのは、本当に憎しみからだけなのか?――
ガエルと和解したアレハンドロだが、衝撃の展開を目の当たりにしてしまう。
エリーズとジェイソンがキスをしているのだ。
エリーズはアルコールに弱い体質なのだが、誤って日本酒を飲んで酔ってしまっていた。
それでジェイソンとアレハンドロを見間違えてしまったのだが…
「蛙の子は蛙。血は争えないということか」
こみ上げる嫉妬を抑えきれず、わざとエリーズの心を抉るような言葉を浴びせるアレハンドロ。
エリーズは自己嫌悪に陥って走り去り、それっきり姿を消した。
――
3ヶ月後
エリーズは友人のツテでモンタナ州の農場で働き、気ままに絵をかきながら暮らしていた。
大空の下で絵を描く。やっと夢が叶ったのに、アレハンドロは隣にいない。
酔っていたとはいえ自分から男にキスをするなんて、やっぱりあの親と同類なのかもしれない。
軽蔑されて当然じゃないかと思い、いたたまれなくなって逃げ出したが…
寂しかった。アレハンドロに会いたかった。
「エリーズ」
呼び止められて振り向くと、そこにはアレハンドロの姿があった。
『蛙の子は蛙』…自分の吐いた言葉が胸に突き刺さり、エリーズを迎えに行く覚悟もできずにいた。
そんなアレハンドロを後押ししてくれたのは、ガエルだ。
エリーズの居場所を探してくれたのも彼だった。
ガエルと和解し、エリーズを失って、アレハンドロはようやく気付いた。
本当は誰かを愛し愛されたかった。
でも、そのやり方が分からず怒りでしか表現できなかった。
そのこじれた感情をほどいてくれたのは、他でもないエリーズだったのだ。
アレハンドロ「弟に対して素直になれたのも君のおかげだ。君が僕に愛を教えてくれたから」
エリーズ「いいえ。2人で迷って2人で答えを見つけたのよ、私たち」
――そして2人で愛を見つけた。
モンタナの夕焼けの下で、2人は結婚を誓うのだった。
「愛なき億万長者の嫉妬」の感想
ストーリーは典型例ハーレクイン小説でしたが、大きい子供みたいなアレハンドロと、しっかり者のお姉ちゃんみたいなエリーズの掛け合いが面白かったです。
アレハンドロ「ノレンニクギオシ?」
エリーズ(腕押しじゃないかしら)
アレハンドロ「マゴニモイショウ!」
エリーズ「悪かったわね!」
…と、アレハンドロが間違った日本語を覚えてたり、ギャグ要素多目で面白かったです。
ただ、後半の急ぎ足な展開はちょっと残念で、もうちょっと丁寧に進めてほしかったですね。
また、同じシリーズでアレハンドロの弟・ガエルのお話、「一夜の恋の贈り物」もございます。
興味があれば「愛なき億万長者の嫉妬」とともに読んでみてください!
まとめ
以上、「愛なき億万長者の嫉妬」のネタバレを紹介しました。
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